南国人+猫妖精+潜水艦乗り+戦争の天才 継承: 南国人:http://koyo.sevenspirals.net/65.html t:名称 = 猫妖精(職業) t:要点 = 猫耳,尻尾 t:周辺環境 = なし t:名称 = 戦争の天才(職業) t:要点 = 学生,軍服,帽子,拳銃 t:周辺環境 = 戦場 L:潜水艦乗り = { t:名称 = 潜水艦乗り(技術) t:要点 = 青白い,眼の鋭い,日よけのない帽子 t:周辺環境 = 艦内 #組み合わせでの設定文もざっと書きました。要点は満たしている…はず。入れるとしたら黒霧さんの解説文とSSの真ん中ぐらいか。 /戦天潜水艦乗り 戦争の天才。そう言われるアイドレスを着る者たちがいる。 その類まれなる空間把握能力と状況判断能力により、オペレータとして活躍してきており 加えて、猫妖精アイドレスを含むために優秀なコパイロットとしても活躍してきた。 そしてまた、この戦争の天才、また違った戦場へと足を踏み出すこととなった。 『諸君、良くここまで訓練に耐えた!これでお前らは合格だ!胸を張れ!』 『『Aye, sir!』』 教官が大きな声で讃辞を送ると、彼らは猫耳・尻尾をピンと立てて返事をする。 日よけの無い帽子と真っ白な軍服という名のセーラー服が目に映える光景である。 彼らは紅葉国の潜水艦乗りとして、これから各方面に散らばっていくこととなる。 紅葉海軍養成所。これまで操縦任務の名パイロットや猫妖精達を数々と送り出してきた場所である。 そして今では潜水艦乗り専門のコースが設立されて大賑わいとなっている。 軍学校とはなっているものの軍属・民間問わず誰でも入ることができ、また卒業後の進路は自由に選ぶことができる。 軍属になる学生たちは民間の訓練終了以降の過程で本格的な軍の訓練を受けることとなる。 同地には唯一絢爛世界から無事戻ってきたセレスタイン級シールドシップのドッグもある。 このため養成所では直接艦内に入り触れることができたり、その航行・戦闘記録を大画面映像で見ることも出来る。 シミュレータも完備しており、きちんと絢爛近郊世界の操縦難易度40クラスも再現してあったりする。 操縦訓練の他にも、簡易整備訓練や海におけるルール、変わり種では潜水艦での暮らし方や料理の方法、 軍属であれば模擬拳銃を使った艦内戦闘法まで、学びたいという希望を出せば学べるという学生のための訓練を行っている。 さて絢爛近郊世界での苦い思い出も潜水艦乗り養成の理由の一つではあるのだが、 まぁ、そこは猫である。前のことはそこそこに、次のことを考えてのことだった。 つまり、『都市船』と『輸送用潜水艦』である。 紅葉国が打ち出した方針は”海方面”。何事にも潜水艦乗りが必要になるのである。 この戦争の天才でもある潜水艦乗り、実際に現場においても大活躍となった。 具体的にいえば、その空間把握能力で航海士や操舵手の配置に就いたり、 猫耳による聴覚の鋭敏さと状況判断能力により水測員になったりと数々の部署をこなせるのである。 また、潜水艦乗りとしての経験を積んだ後は、自分の船や会社を持って商売を始める者もいるようである。 新たな戦場-経済や社会、商売に乗り出していった彼らだが、きっとその持前の才能を活かして 様々な難局を切り抜いていくであろう。 設定文 ファームによる生物資源の生産率上昇。 それに基づいた、日用品等の普及と雇用政策。 きれいな海提出時の海洋調査に基づいた海洋研究の可能性の調査と、それに基づいた都市船への研究用ブロックの敷設と航路の確定。 輸送潜水艦による各種物資の運び出し。 観光を主産業としてきた紅葉国は、これら一連の流れを経て、工業生産能力の向上と海底都市における人口過密問題の解決はかり、そして海洋研究を目指しての手がかりを探ってきた。 だが、これらを説明する上で、彼ら潜水艦乗りの存在を忘れるわけにはいかない。 上記の事業を達成するため、ここしばらく紅葉国では大勢の潜水艦乗りを雇ってきた。 紅葉国の主産業は観光である。主産業なだけあって、観光地、大観光地、リゾートホテルからなるこれらの施設はひどく立派である。 しかし、近年の世界情勢を受けて、観光業は全国的に低迷している。それは紅葉国でも例外ではなく、むしろ巨大な観光施設があるだけ、その影響は強い。 これらの人々への職業支援は急務であった。 ファームの開発と運営、都市船の開発と運行、輸送潜水艦の開発。これらの事業では大々的に雇用を行った。だがこれも、長期的に見れば一時的な対応であり、早急に新たな産業体系を作ることが求められている。 これらの事業を経て、紅葉国では多くの潜水艦乗りが雇用された。すべての業務において、潜水艦乗りと潜水艦の数をそろえることは必須であった。 そして。これらの人々は、今後も必要とされている。 輸送潜水艦の開発により、今後は運送業が活発になるであろう。都市船の運行により人口問題が解決したものの、海底都市との間を定期的に行き来するにはやはり潜水艦乗りが必要になる。そして都市船ではこれまでの調査結果に基づいた海洋研究も行われる。サンプル確保や海域調査のため、高度な技術を持つ人材が、必要となる。勿論、それらの人々を教育する指導員も必要だと考えられた。 余談だが、指導員の中にはイルカもいる。これは公式のマニュアルでも設定されており、イルカ、シャチなどの海洋ほ乳類の動きを見ることで周辺海域の様子や航路の取り方などを学んでいる。「感じて考えろ」が標語である。 無茶だろうという意見が多かった割には、一部には無茶に耐えられるの勘のいい人もいた。総じて、ギャンブルでもよく勝てるほど運の良い、ごくごく一部の人たちであった。 そしてここからまじめな話に戻る。 潜水艦乗りの中でも特に優れた者に関しては、実際、上記のようにイルカやシャチをパートナとしている。 たとえば、都市船。輸送潜水艦等様々な潜水艦が都市船に向かうが、都市船は基本的に回遊している。この正確な位置を知るため、近隣海域まで計算してやってきた後は、パートナとなるイルカやシャチを呼んで案内してもらい到着する事になる。 船長とパートナは対なのである。 また、これらのパートナには名前をつける習慣があり、潜水艦乗り達は密かに様々な愛称で彼らを呼んでいる。 潜水艦乗り。日除けのない帽子をかぶり、よく焼けた顔をコンソールの光で青白く反射させる人々。細められた眼の鋭い視線で計器を見る人々。艦内をせわしなく動き、各部の調整をする人々。 今後の紅葉国の産業体系構築の上で、彼らは、一つの軸として見られている。 /*潜水艦乗りSS*/ 潜水艦乗りの、大規模雇用があった。 都市船の開発、輸送潜水艦の開発、それに伴う大規模移住、物資輸送。そして後々は海洋研究のための調査乗組員……。近頃行われた様々な事業に、潜水艦乗りという潜水艦乗りがかり出された。 そこに加わった一企業。以前、トランプであてたという潜水艦三隻を保有する個人宅配業者の「いるか輸送団」の事務所。木造二階建てアパートの一室に今日は四人が集まっている。 エドガーはその中で最年少の男だった。年齢は十九。しかし小柄なため、時々、三歳くらい年齢を低く見積もられてしまう。……これでもこの事業部の潜水艦乗りの一人であり、社長の一人息子であった。 父にしてして社長たるウォルターは、今ははだけたシャツにスラックスという、まこと夏のオフィスらしい姿である。しっかりとした体つきで肩幅は広く、事務仕事よりも肉体労働の方が向いてそうな風貌だ。 しかし。彼の幸運と事務労働がなければこの「いるか輸送団」は成り立たないのも確かであり。ついでに言えば、彼が父でなければ幼い頃から「試しにやってみろ」と言って賭で手に入れた潜水艦の操縦桿を握らせてもらえることもなかっただろう。 勿論そんなのは例外中の例外で。しかもそれだけでは違法運転になってしまうので、ちゃんとした免許を手に入れるため、その後、正式な教育を受けている。 ……しかし、何故自分は父の下っ端なぞをやっているのだろう、と思わなくも、ない。 で、リビングに突っ立っているエドガーの隣では、パイプ椅子に寄りかかっている別の男がいる。彼の名前はフロレンタイン。眠たそうに欠伸をしているが、あらゆる作業をルーチンワークに落とし込む変人だったりもする。 最後に、エドガーの横に立っている女性の名前がモレリィ。比較的短気が多いこの輸送団の中では唯一気長な人物で、なんだかんだいいながら長距離輸送は彼女の担当になっている。 「で、だ。うちに、国から仕事が来た。まあどこにでもきてるんだがな」 ウォルターは岩のようながっしりとした声でそう言った。リビングに一つだけあるテーブルの向こう、フローと同じパイプ椅子に腰掛けている。 彼はこちらを見て、言った。 「潜水艦乗りの大量雇用の話は知ってるだろう? 今躍起になってあちこち雇用がされてる。まあ。ある種のバブルだな。稼ぐなら今だ」 「そしてギャンブルに消える、と」フローがつぶやく。 「その通りだ」頷くウォルター。「安心しろ。今度は十倍にしてくる」 できるかっ。皆の心が一つになる。 「それはともかくだ。これより長期間向こうに出向する事になる。フローは都市船のスレーブ輸送、モレリィは物資輸送」 「俺は?」 「エドガーは周辺海域の調査、その後各種テストだ。まあ。しばらくはまず、おまえ達全員で周辺海域の調査をすることになる。この間もあっただろう? 綺麗な海作戦」 「あー。周辺海域と海洋資源の調査でしたっけ」モレリィが顎に指をあてて聞いた。「じゃあ、海洋研究所設立の噂って本当なんだ」 「都市船の一ブロックをそのまま使うらしい。豪勢な話だ」 「それよりも私は広い部屋が欲しい……」 紅葉国。海底都市の安全さに比例して狭さが強烈な空間である。 「何のための都市船だと思ってるんだおまえは」呆れた顔のウォルター。 「私が住めるとは限らないじゃないですかっ」 「そこはねじ込んでやるから。ほら、仕事仕事。これが書類だ。目を通したら明日からゴー」 そう言って、ウォルターは三人にプリントを渡した。三人はそれぞれ目を通して―――げっ、とうなった。 うなった理由は、単純である。 その調査海域には、近頃、やたらと凶暴な鯨が出るという噂があるのだった―――。 /*/ 嘘だろー、と思いながらも。エドガーが舵を握ることになったのは動かしようもない事実であった。 「実際のところ。危機対応能力はおまえが一番高いだろ」 というのは、副操縦席に座ったフローである。直後、彼は規定深度到達、と口にする。 シートにもたれかかり、エドガーはため息をつく。 「何かあって撃沈されても恨まないでくれよ」 「恨むに決まってるだろう」 「弱気な事言わないでよ」 フローとモレリィは同時に言った。みんなひでぇや。あまりにも暖かい友情に涙をこぼしそうになるエドガー。 エドガーは振り返った。後ろの座席で、フローは頬杖をついている。今日はじゃんけんで負けたから暇なのだった。時々、側面のディスプレイで補正のかかった明るいブルーの海中映像を見るしか仕事がない。 「とりあえず。今日は安全調査。規定航路を走って、何事もない事を確認。明日からは専門の航海士や調査員を連れて更に細かく調査。だよね」 エドガーの確認に、フローは何も言わなかった。今更何聞いているんだとしかめた顔が告げている。 「はいはい。もう……じゃ、前進前進」 もう一度息を吐きながら潜水艦を前に進める。丸い、カプセルみたいな形の潜水艦が、ずりずりと雪の上を滑るようにゆっくりと進み出す。 /*/ 進行は順調だった。時々浮上して空気の入れ換えをし、休みを何度か繰り返しているうちに航路の半分は進んでしまった。もう折り返し地点。 再び潜水した時には、今日の仕事は楽だったなとエドガーは思い始めていた。 勿論。トラブルがやってきたのはそのタイミングだった。 「―――ん?」 操縦桿を握っていたエドガーは、不意に顔をしかめた。フローが一瞬こちらを見て、目を瞑る。更に一瞬遅れてモレリィがディスプレイで周辺チェック。 「……こっちでは何も見えないわ。フロー?」 「俺にはわからん。エドガー」 「何かでっかいのがものすごい勢いで向かってきてる。………………気が、する」 操縦桿越しに、わずかに伝わる重たい感触。海水が荒れている。 エドガーは反射的に加速を開始させていた。ごごご、と船体が重たい音をたてる。 海を押しのけ、闇をくぐり抜けるように猛烈な速度で走り始める潜水艦。その姿は傍目に見れば巨大なミサイルのようでもあり、 だからこそ。追走する黒き巨影は何かの冗談のようだった。 「っ、早い。そろそろ見えるんじゃないか?」 「見えた。鯨よ! 角付き……カーシーッ!」 「例の一角か。このあたりになんで」 フローが顔をしかめる。エドガーは無言で操縦桿を操作している。速度的には限界。船体は小さいし海流にも乗っている。およそこれ以上は望めない速度を出しているが、それでも徐々に詰め寄られている感覚がある。 「エドガー。二時方向」 「OKっ」 何があるかも聞かずに舵を切る。 うなるような音を立てて潜水艦が潜っていく。二時方向、大きく削れた岩が天然の柱を作り、回廊のようになった場所があった。 複雑に入り組んだ土地を、ほぼ直感で理解する。この速度だ。正面からぶつかったら……なんて、想像もしたくない。 「私がナビする」モレリィが言った。「二秒後、左。そのあとすぐ右」 「柱だね」 「そうっ」 きっちり二秒後。潜水艦は左に滑るように移動。そしてすぐに右に戻った。後部が、がりっと岩の柱を削っていく。 そして。後ろから迫るカーシー(一角)は、 「―――――!」 真正面から、柱を破壊してやってきた。 砕け散る岩の柱。船体を揺らす振動。意外ともろいな、なんて言っている余裕は無い。 「うそっ。何無茶してるのあいつっ」 「凶暴だなぁ」 エドガーに感想を言う余裕は無かった。 回廊での追走劇。数秒に一回のペースで迫る死の恐怖を次々に切り抜け、奥へと進む潜水艦。躍るように舞うように進む様は、エドガーの驚くべき技量を感じさせた。鈍重なはずの潜水艦は、この海の中にあってまさしく魚のようだった。 むしろ、細い柱など関係ないとばかりに叩き折って向かってくるカーシーこそミサイルか魚雷のようだった。 ―――回廊を抜ける。わずかに浮上させながら走っていく。 度重なる柱との衝突で、鯨の速度は落ちていた。 だがしかし。考えてもみよう。 全速でこれだけの時間走り続けたのだ。つまり、 「……そろそろエンジンが怖いな」 「その通り。焼け付くぞ、このまま行くと」 冷静に返すフロー。……今度すね蹴っ飛ばしてやろうとエドガーは誓った。 「しかし。なんだってここまで執念深く迫ってくるのかしら……って、あれ?」 「何だ?」 「待って。……カーシー、なんか、こう。変。腹のあたりに変なふくらみ……ああっ!」 「怪我か?」フローが聞く。 「見てないのに先に言うなばかっ」モレリィが声を荒げる。 「怪我してたの?」エドガーが聞く。 「ええ。そう。だから凶暴だったんだ……だけどまだ追いかけてくるわよ。執念深いわね」 「そっか……」 原因解明。エドガーは少しため息をついた。 「……フロー。ファームの場所分かる?」 「ん? ああ。……そうか。誘導するんだな?」 「そう。できればエンジンが焼きつく前にたどり着きたい」 「わかった。……大丈夫だ。近いぞ」 /*/ 紅葉国には海中にファームがある。都市船のスレーブシップ、その試作段階でもあったその施設では、周辺の海洋ほ乳類の治療等も行っていた。 なんとかエンジンが焼け付く前に近くの海域にたどり着く。するといつの間にか駆け寄ってきていたルークという名のイルカが、潜水艦の右手を横切っていった。そのまま案内されるように、ファームへと向かって行く。 しばらく進むと、通信が届いた。事情を説明してまもなく、ファームから潜水艦がやってきた。もはやふらふらのカーシーへと近づいて行く。 それを見送りながら、かなり暑くなってきた潜水艦をファームに向ける。――業務用の発着場に止めた途端、潜水艦のエンジンは、ため息をつくようにダウンした。 「あはは。お疲れ」 ぽん、と操縦桿を叩いてエドガーは船の外に出た。後からフロー、モレリィが続く。 「いやぁ、疲れた」 エドガーがのびをしていると、フローが軽く背中を叩いてきた。お疲れ、といって少し笑う。 「なかなかスリル満点だったな」 「でもさ。あの海域の危険って、これだったんだね」 モレリィが言う。彼女ものびをして、疲れた顔を向けた。――回廊を進む間中、こちらの挙動を読んでナビをしていたのだ。そりゃ疲れもする。 「そうだね」エドガーは頷く。「正直。いきなりあんな風に迫られたらびっくりする」 「ま。これで危険も取り除かれたわけね」 「鯨無事に治療されるかなぁ」 「さっき。ファームの人と通信した限りでは、大丈夫って話だったぞ。……それよりも、休みに行かないか?」 「さんせー」 「賛成」 フローの提案に頷いて、三人はさっさと歩き出す。 ……長らく続いた緊張感から、ようやく解放される。 しかし。彼らでなければ、その緊張感はもっと早く――もっと別の形で解放されていたかもしれない。 すなわちは。この結末こそが、熟練の潜水艦乗りの証という事である。 なお、余談。 翌日、ウォルターは事務所で頭を抱えた。 危険手当がいいからとクルーを送り出したが。……どうやら、その危険手当は潜水艦の新しいエンジンと、鯨の治療代に消えることになるらしかった。 「儲からない星の巡りなのかなぁ……」 ウォルターの悲しげな声が、事務所にむなしくこだました。 |
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