食糧倉庫

定義

L:食糧倉庫={

t:名称=食糧倉庫(施設)

t:要点=食糧倉庫

t:周辺環境=備蓄されている食糧,ネズミ捕りのなにか

t:評価=なし

t:特殊={

*食糧倉庫の施設カテゴリ = 藩国施設として扱う。

*毎ターン食料+15万tされる。

→次のアイドレス:・食品加工工場(施設)・陸軍兵站システム(技術)・豊饒の大地(施設)

HQ継承&HQ判定により25万t。

/*/

派生元:食料生産地 (HQ判定)

食糧倉庫:HQ判定

設定

f:紅葉国の食糧倉庫={

側面:以前は収穫時期をずらすなどして消費できる分だけ生産していた。

側面:戦争などの非常時に備蓄が尽きかねないほどの消費が発生する恐れがあり、食料を保存することで有効な生産量を増やす必要に迫られた。

側面:陸上のものは食料生産地の倉庫を大型化したもの、外見は観光地としての美観を損ねないもので洪水対策のために高床式。

側面:とはいっても陸上に地面はほとんど無いため、海底に大型の食糧倉庫が建設された。こちらは機能優先で外見に特にこだわりはなく近代的。

側面:どちらもネズミ対策と倉庫内の温度、湿度を一定に保つための工夫がされている。海底に倉庫を設置するのは環境の変化が緩やかなためでもある。

側面:海底倉庫にそもそもネズミが居るのかは謎。

/*/

紅葉国には小さな食糧倉庫がある。

牧歌的な風景の中にぽつりぽつりと点在するそれらは、紅葉国の景観に合わせて床を高く作られており、あまり近代的な印象を受けない外観を持っている。

しかし、実際は貯蔵されている食糧のために内部の湿度・温度他を機械で完全に制御している先端技術の塊のような倉庫である。

そんな高性能な食糧倉庫ではあったが、紅葉国には土地が極端に少なく、そのせいで一つの倉庫に貯蔵出来る食糧の総量は、決して多くはなかった。

これは同様 に陸地が極端に少ないために農地がメガフロートや海中ドームなど海に移され、あらゆる環境を制御して農業を行う紅葉国独自のスタイルのおかげであり、

意図 的に収穫の周期をずらすことが可能であるために成立するシステムであった。

ただし、それが成立するのは平穏無事な時代のおかげである。故郷を追われ、戦争が始まり、過剰なストレスを受けながら出撃していく多くの南国人は、予想以上に大食いだった。

そのことに気付いた政庁が行った試算は、今のシステムが1年以内に崩壊すると示していた。

紅葉国は田舎であり、南国人は大抵が脳天気な性分であったが、1年待って大ピンチに陥ってからさぁどうしようかと考えようとするほど呑気なわけでもなかっ た。

政庁に大勢の研究者や建築家が集められ、会議が行われる。目の下にクマを作った藩王は、集まった大勢の前で静かに宣言した。

「食糧倉庫を作りましょう。」

宣言に会議室がざわめく。何人かが手を上げては、自分の意見を口にした。

「え? いや、ありますよね? 生産地と、集配場と、あとは民間のものもいくつか…。」

「そんなことよりスプリンター育成しましょうよ!」

呑気ではなかったが、危機感は極端に低かった。円卓に肘を乗せていた藩王ルウシィが、微笑んだままパチンと指を鳴らす。

カーテンが自動的に閉まり電気が消され、会議室の壁にいくつかのグラフが映し出される。暗くなった会議室のそこかしこで、瞳孔が開いた瞳が光っていた。

「このままでは、餓死者が出る。食糧倉庫は今必要なのよ。」

藩王の言葉に今度は会議室が静まり返る。壁には海底に作られた食糧倉庫の完成予想図が大きく映し出された。

「促成栽培の技術はある。貯蔵する場所があれば、仮想的な土地が増えるわ。最低でも、20万トンは貯蔵したいわね。」

静かな会議室から、今度は一本だけ手が挙がる。

「……そんなに海底にスペースの余裕がありますか?」

質問にニヤリと笑って、ルウシィが再び指を鳴らした。映像が巨大な3階層の食糧倉庫に変わって、小さく感嘆の声が洩れる。

「7階層とまではいかなくとも、階層を分ければスペースの節約が出来る。」

壁の映像が次々に変化し、海底のものだけでなくメガフロートに乗った食糧倉庫やそれらの設計図。

各食糧倉庫間や集配場、生産地との相互に移動する経路が映し出される。手元の資料と映像を交互に見た会議参加者の中に、食糧倉庫の製造に反対する者はいなかった。

/*/

海底倉庫

数ヶ月後、紅葉国海底ドーム。

「はーい、ここが3号食糧倉庫。一番大きい食糧倉庫です。ここに備蓄されている食糧は、皆の家にも運ばれているんですよー。」

巨大な食糧倉庫を作るのは初めてでも、巨大な海底ドームや巨大なフロート、及び冷蔵・冷凍庫付きの食糧倉庫を作るノウハウを持っていた紅葉国にとって、

新たに食糧倉庫を作る事業はとんでもない難題、というわけではなかった。

一般公開されている食糧倉庫を、大勢の学生が案内されていく。

自分たちの背丈より倍以上高い貯蔵棚を見上げて、ぽかんと口を開けてはまたうろうろと倉庫内を眺めて回る。倉庫中で金髪の頭が揺れるのを見ながら、引率者は少し大きめに声を出した。

「質問のある人は、いませんか?」

金髪が揺れながら引率者の近くに寄り、細すぎるでも太すぎるでもない健康的な褐色の腕が、そこかしこから生える。その度に引率者が質問者を指名しては、質問に答えていく。

「この倉庫、寒くないですか?」

「はい、寒いです。食糧が痛まないように室温が制御されているので、露出の多い服を着ている私は特に寒いです。」

「これは何ですか?」

「はい、それはネズミとりです。技族の卵さんたちが作ってくれたもので、色々な種類があります。」

少し不馴れに答える引率者を見て、学生たちは真面目な顔でメモをとっていく。ネズミとりのくだりを書こうとしていた一人の学生は、名前の分からないそれに少し悩んでから「ネズミとりの何か」と書き込んだ。

「はい。では他に質問もないようですから、お昼ご飯を食べに行きましょう。午後からは、もう一つの新しい施設に行きますよ。」

引率者の言葉に学生たちが歓声を上げる。もう一つの新しい施設、つまり巨大な食糧倉庫と同時期に作られた施設は、観光地であった。

口々に楽しみであると言いながら学生たちが出て行った後ろで、重たい3号食糧倉庫の扉が静かに閉まった。

海底に建築されている食糧倉庫は、倉庫によって様々な使用目的があり、それぞれがナンバリングされている。

ほとんどの倉庫が3階層から成る巨大なドームでフロア内をブロックごとに区切ってあり、同じフロアにある倉庫でもブロックごとに保存する物に応じた環境を設定できる。

民間にも貸し出されている倉庫があり、常駐の作業者が居るため、入口のある1階には風呂やトイレ、給湯室と仮眠室など居住スペースも設けられており全ての倉庫を3階のコントロールルームでモニタリングしている。

2階の半分近くを占める倉庫は一般に開放され、問屋を兼ねている。内装は特 に決まっておらず、管理会社や貯蔵する食糧などによってそれぞれが使いやすいように棚などを置いている。あくまでも貸倉庫であるために、食糧倉庫としての性能を損なうような内装や改築を行った場合には相応の違約金を請求されることとなる。

交通手段はチューブトレインが主であり、特に3階層から成る倉庫街は人口の比較的多いエリアに作られているため通勤には便利である。生産地や生産地近くの集配場、消費地近くの集配場との相互連絡路が充実しており、便も多い。

/*/

海上倉庫

メガフロートと呼ばれる直方体状の浮遊ブロックの上に建築されている食糧倉庫は、主に食糧危機に備えた藩国管理の食糧貯蔵や、輸出用食糧の貯蔵を目的として作られている。

倉庫は2階層から成っており、1階には食糧を並べて置くための棚が設けられ、2階では食糧の詰められたコンテナが置かれている。

居住性は低く、太陽光による腐敗の促進を防ぐために窓は設計されていない。1階の場合は棚同士の間隔も狭くなっており、人間一人が荷物を持って通れる程度の通路しかない。

基本的には無人であり、時々食糧を輸送して くる際に一緒に移動してくる知類は輸送してきた食糧を所定の位置に運んで帰っていく。

運ばれた食糧はその後コンピュータによって選別され、収納すべき場所 へと運ばれて行く。それ以外で作業者が関わる作業は、常時行われている室温調節や、定期的に行われる貯蔵量調査の結果を確認し、もし異常がある場合には原因 を究明、解決させることくらいである。

一応は地上であるため防虫対策も整えられており、ネズミとりも設置されている。また、それらとは別に「ネズミとり」と 呼ばれる侵入者を感知するセンサーも随所に備えられており、食糧倉庫の中でも特に先端技術が集まっている施設となっている。

交通手段は海に浮かんでいるという性質上主に船であるが、同メガフロート内にヘリポートがある場合は航空機や輸送量の関係上ほとんど使用されないが I=Dによる空路、また設置されている座標によっては真下にある食糧生産地からエレベーターで隣接する食糧生産地から徒歩など食糧生産地から直接移動することも出来る。

貯蔵目的上、民間の集配場との連絡路はあまり考慮されていない。

/*/

陸上倉庫

さて、地上倉庫の様子も実は大きく様変わりした。

前にも述べたように、以前はあちらこちらと小規模な倉庫をいくつかづつ建てていたのだが、まぁなんだ、見苦しくあまり効率も良くないという事で各島に一つの巨大な倉庫を建てることとなった。

この移行措置に関して土壌調査やら巨大ながら景観を崩さないで、かつ食料を長期保存できるような倉庫をどうつくるかという議論が続いたりしたが割愛する。

結果、これまで造っていた小型で高性能な倉庫をそのままの感じで巨大化させることに成功。技族局は死にそうになっていたが、観光組合の顔はほくほくしていた。

これまでの小型倉庫と連携することにより、この大型倉庫は効率的に機能するようになった。

立地条件にこだわったおかげで雨や土砂対策はしてあるため大型倉庫内の食料は比較的安心であり、村ごとの備蓄倉庫にはそれほど詰め込む必要はない。

また必要な分だけ貯めておくことにより適切な管理ができ美味しく頂けたり、定期的に大型倉庫から補充や回収が来るため急いで収穫などをしなくても良くなった。

まぁ、「苦労した分だけの効果はあってよかった」と疲労で顔を青くしながら笑った技族の一人の言葉が全てを物語っているといえよう。

ちなみに彼にはこの後観光地の建設企画書類が待っているのだが、それはまた別の話。・・・南無。