郊外ファームタイプの遊園地
http://miyahyuga.web.fc2.com/koyo/MapleSeaLand/index.html
修正依頼
/ファームの設定的要点
における
国内情勢的設定
の
・国内で生活が苦しい、ギャンブルで身を滅ぼした人を対象に仕事を斡旋している
を
・ギャンブルで身を滅ぼした人などを始め、国内での生活が苦しい市民全体を対象に仕事を斡旋している
に差し替えをお願いします
また同じ項目(国内情勢的設定)の最後に
・最終的には正規の従業員が七割になる事を目指す
の一文の追加をお願いします。
/すっかんぴんになる ファームではたらく
における
しかしその施設では、賭博ですっかんぴんになった人を身受けして作業員としてやとってくれるというのであった。しかも寮、食事、風呂付き。この点ぶっちゃけるとファームの儲けの全てが還流されていた。
を
しかしその施設では、賭博に限らずさまざまな事情ですっかんぴんになった人を身受けして作業員としてやとってくれるというのであった。しかも寮、食事、風呂付き。この点ぶっちゃけるとファームの儲けの全てが還流されていた。
に差し替えをお願いします
/おきゃくがくる かんこうした
における
ここから少し離れると、実際に採取されたまままだ加工されていない皮や骨、木材などが置かれている部屋がある。観光客は希望すればここで自分だけの食器や入れ物、革細工を作る事が出来た。
の下に、以下を追加お願いします。
#ここから
実のところ、この施設は観光施設としてよりも生物資源の生産施設、日用品の生産施設としての意味合いの方が強い。それを一応観光にも使えるようにした、というのがこの施設だ。
海底ドームでの暮らしは、実のところ安全である。ただしそれでも常に充分な貯蓄がある事が前提になる。例え戦争による災禍が届かず、テロ活動が警官達に取り押さえられたとしても、長期間海底だけで暮らしていればやがて足りない物も増えてくる。
このファームの目的は、そんなときの対応も含まれている。生物資源の生産をきっかけとして、日用品が不足するといった事態を避けようというのである。
多くの木々。種類は絞られるが充分に生態系を考慮された動物たち。材料は保存され、一部は日用品として国内を巡る。日常においては、人々が生活に必要な物を手軽に手に入れるようにするため。非日常においても、それは同じ。
そのための動植物であり、その加工施設である。
自然環境の保全を目的として海に潜った紅葉国の性質を考えるならば、それは一度手を放したものと、もう一度手をつなごうとするような行為であった。
/すっかんぴんになる ファームではたらく
の
この三層構造の沈没船は、次のように空間わけされている。上層を緑溢れるファームとし、外縁部をモノレールで移動しながら区画ごと異なる動物とふれあえる施設となっている。また、中層目は生産品の加工工場や売店を含む各種施設群となっており、下層はドームと同じく各種交通機関発着場とされていた。
このめいぷるシーランドは各種動植物を扱う一種のパークとなっており、それを背景に紅葉国の豊かな生態系を生かした施設を組み込んだ物だった。
の下に以下の文章をいれて、
これらの施設は一応観光施設としても使えるようにはされているが、その主な目的は生物資源の生産能力にある。木々のプランテーションや、さまざまな動物を揃えた牧場。ライフサイクルを考慮に入れたこれらの生態系の上で、得られる材木や分泌物、動物の皮や骨など、さまざまな生物資源が得られるように設計されていた。
これらが流通することで、将来的には加工業などの発展が見込まれると言われている。
以下の文章を削除してください
このめいぷるシーランドは各種動植物を扱う一種のパークとなっており、それを背景に紅葉国の豊かな生態系を生かした施設を組み込んだ物だった。
L:郊外ファームタイプの遊園地 = {
t:名称 = 郊外ファームタイプの遊園地(施設)
t:要点 = 家族連れ,遊具
t:周辺環境 = 売店,モノレール
t:評価 = なし
t:特殊 = {
*郊外ファームタイプの遊園地の施設カテゴリ = 国家施設として扱う。
*郊外ファームタイプの遊園地の位置づけ = 生産施設として扱う。
*郊外ファームタイプの遊園地の特殊1 = 毎ターン生産フェイズに生物資源が+15万tされる。
*郊外ファームタイプの遊園地の特殊2 = 毎ターン生産フェイズに資金が+5億される。
}
t:→次のアイドレス = 変身ヒーロー(職業4),ドキドキデート?(イベント),地下秘密基地(施設),ジェットコースター?(施設)
}
イラスト系
#神室:九夜さんの許可が取れたら入れても良いかもしれません。
#ウィルソンっぽいだれか
#イメージだけで書いたササキさんとウィルソン。登場人物として最後の最後に入れるとか、でしょうか。
文章作成用のメモ(黒霧の小説プロット)
仮題:郊外ファームタイプの遊園地
題:めいぷるシーランド
箱庭:紅葉国
イメージ:観光も視野に入れた牧場物語(ギャグ),ポップ,キュート,モノローグ風
テーマ:いちもんなしでもだいじょうぶ
形式:短編小説(二万文字未満)
ネタ:ギャンブル,すっかんぴん,再出立,無限ループ
要点:家族連れ,遊具,売店,モノレール,海底,別ドーム
ストーリィ:
概要=すっぴんかんで放り込まれたある青年が立派に立ち直るまでの物語
1.すっかんぴんで放り込まれる=職員とかの紹介,産業的にどういう位置づけか
2.仕事する=通常業務描写
3.観光客来る=観光業務描写
4.まともにお金が稼げるようになってくる=将来選択
施設設定={
・ドーム内牧場
・紅葉国の全海域を使った海生ほ乳類の放牧(タグ付けして探し回る)
・観光用途としては、タグを狙ってイルカや鯨を見に行く
・ファームのもうけは全部還元
}
各節のタイトル
/スタート
郊外ファームタイプの遊園地
/すっかんぴんになる ファームではたらく
/しごとをする おきゅうりょうをもらった
/おきゃくがくる かんこうした
/たくわえができる しごとをえらんだ
/ゴール
(振り出しに戻る<戻るな)
/プロット
イメージは人生ゲーム
以下作品(初稿アップ)
題:めいぷるシーランド就労記
/スタート
郊外ファームタイプの遊園地ができた。
国の広報には「近年ギャンブルでうんぬんかんぬんと書いてあった。けど、いろいろ読み飛ばして美味しいところをまとめれば、つまりは
「すっかんぴんになったら働いてどうにかしましょう」
という事らしい。
紅葉国の現状は結構悲惨である。
国家事業として観光事業を展開しつつも、T13付近と言えば相変わらずNWでは戦火激しい時期であった。その災禍は経済を破綻させたこともあったし、資源不足で国家滅亡の危機ということもあった。最も耳新しいのは数多くの孤児の存在であり、そのために全国規模で里親捜しが行われたりも、した。
そんな中では、観光に対して自粛ムードが漂うのも仕方のないことだったと思う。
仕方ないのだが、だからといって日々の生活を遅れないでいいというわけでは全くない。それはそれ、これはこれなのである。
T13終了間際では、この国は生活を切り詰めるどころか所得マイナスという事態に陥っている。その結果どんなことになっただろうと言えば、
「ぎゃー! 負けたー」
「よしっ。今日のポーカーは俺の勝ちだ」
「嘘だ、嘘だっ。お前は昨日最下位だったじゃないか!」
「ふははは。勝負は時の運よ! 明日は俺がお前達の王だ! きりきり働けっ」
「いやだー!」
ポーカーで身売りをするという事態に陥っていた。
ちなみに上記光景は、翌日の労働報酬につながる。つまりは働いた分の金が勝者に吸い上げられるのである。
さて。そんな光景の中には、
「なにぃ? 今日の分のもうけは昨日の賭けですってるだと?」
「つまりはあれか、無一文でかけたのかお前さんは」
こういうこともある。
「あ、あはは……すみませんっ! つい出来心でっ!」
「出来心ですみゃあ警察はいらないんだよ!」
こういうこともある。
「おら、出て行け-!」
「な、なにもズボンまで持っていかなくても!?」
「んな事言えた立場か、お前は? てめぇを死ぬまでこき使ってもいいんだぞコラ!」
「ひいっ!」
こういうことも、ある。
そして、賭博場からパンツ一丁で逃げ出す事になった男の名前をウィルソンという。今年21になる、リゾートで下働きをしていた南国人である。
その彼は、昨日の時点で手持ちのお金は全て無くしてしまっていた。賭に負けたのである。
「ううっ。今日こそはと思ったのに、思ったのに!」
ばんばんとアスファルトを叩いて悔しがるも、賭博に挑むには彼にはあんまりに運がなかった。
ちなみに、普通ならここは売られる所ではある。が、
「無一文で賭けるようなやつは売ったところですぐにまた迷惑を起こして逆に賠償請求されかねない」
一応人売りはまっとうな商売ではないので、まかり間違って強面の人たちに詰め寄られたりしたらとんでもないのである。人売りするほどの環境ではあるがリスク計算は結構冷静だった。あるいはそれがギャンブラーという物なのかもしれない。
それはともかく。
「ううっ。これは、まずい……」
いや、普通に自宅の安アパートに戻れば一応衣類くらいはある……はずなのだが、そういう事ではなく。
とにもかくにも、これではれて完璧なるすっかんぴんである。アパートにまだ食事残っていたっけと、この計画性皆無の人物はおぼろな記憶を探った。
そして、ある事を思いだした。
――それは、すっかんぴんで放り込まれたある青年が立派に立ち直るまでの物語である。
/すっかんぴんになる ファームではたらく
郊外ファームタイプの遊園地、正式名称をめいぷるシーランドというこの場所は、紅葉国で開発中の船舶属性都市船のテストヘッドをまるまる一つ使い切った巨大施設である。
ちなみにこのテストヘッド、元々は動けるはずだったのだが、その質量に対して充分な出力のエンジンが開発できなかった関係上、中身=施設他を詰めると動けなくなる。この関係上別名沈没船とも言われていた。円筒状である形から連想して魚取りとも呼ばれるが、こちらはあまり一般的ではない。
この三層構造の沈没船は、次のように空間わけされている。上層を緑溢れるファームとし、外縁部をモノレールで移動しながら区画ごと異なる動物とふれあえる施設となっている。また、中層目は生産品の加工工場や売店を含む各種施設群となっており、下層はドームと同じく各種交通機関発着場とされていた。
このめいぷるシーランドは各種動植物を扱う一種のパークとなっており、それを背景に紅葉国の豊かな生態系を生かした施設を組み込んだ物だった。
――そしてもう一つ。
「はい。じゃあ今日からあなたの所属するグループの担当になるササキです。よろしくお願いします」
「うい、よろしくお願いします」
「うい?」
「あ、すみません。はい」
「まあ接客は無理そうね、君」
ずばんと言い切ったのは南国人の女性である。このファームの従業員の一人で、今日からウィルソンの所属する作業グループのリーダでもあった。
場所はファームの中層、事務室。ウィルソンはモスグリーンの作業着、ササキも同じ服の上にリーダ用のオレンジの腕章をつけている。二人は机を挟んでパイプ椅子に座っていた。
ウィルソンの記憶にあったのは、政府による職業斡旋の話だった。それを知ったとき、また遊園地なんかを作るのかーと職場の同僚はいやぁな顔をしたし、ウィルソンもまたリゾートで働きながら同じようなことを考えた物だった。
しかしその施設では、賭博ですっかんぴんになった人を身受けして作業員としてやとってくれるというのであった。しかも寮、食事、風呂付き。この点ぶっちゃけるとファームの儲けの全てが還流されていた。
つまりは。この施設はすっかんぴんのための生活支援施設でもあるのだった。
「まああなたみたいに運もないのに賭博に興じてパンツ一丁でやってくる輩もそういないわけじゃないのよね」
「う。お恥ずかしい限りです」
ササキは淡々と話ながら、苦笑した。
「まあ、いいんじゃない? これに懲りてきりきり働いて再出発すれば。自分を賭けて博打うってひどいことになるよりはマシよ。私だって体売るかどうかっていう所だったんだから」
「え?」
「あー、いや、なんでもないわ」ササキは苦笑すると、ぱんぱんと手を叩いた。「さ。仕事仕事。ここにはあんたみたいな素寒貧や一文無しの類がわんさかといるからね。容赦はしないよ。精々気張って働くこと!」
「ういっす」
「はい?」
「あ、はい!」
/しごとをする おきゅうりょうをもらった
仕事について三日。だいたいここでの仕事の手順がわかってきたウィルソンは、今日も今日とて仕事である。
彼の一日は寮の二段ベッドの一段目から始まる。時間になるとのそのそと起きて、ルームメイトと共に作業着に着替えて食堂まで行く。六時半に開き始める食堂に七時に入って、八時までは自由時間。大抵の者はルームメイトとぐだぐだ話したりしているが、そうでない人も自室に戻って読書をしていたり、さっさと職場に出かけたり、それぞれのんびりと過ごしていた。基本的に衣食住完備であり、施設にも充分な広さが確保されているため不満が出ることは滅多にない。
まあそのぶん、仕事は仕事として結構大変なのだが。
ちなみに。ウィルソンの場合はどうしているかというと、
「よっし、今度は俺の勝ちだ。フルハウス!」
「ごめん、ロイヤルストレートフラッシュなんだ、私」
「ひ、ひどす」
懲りろよ! と全職員から突っ込まれるような事をやっていた。
夕食のデザートを賭けてのポーカは、今日はササキに軍配が上がったらしい。食堂の一室であがる悲鳴にササキだけがうはははと笑っていた。
まあそもそもこの施設にやってくる時点で全員運はあてにならないので、その勝敗はかなり一様に分布している。以前この出来事を見てやめさせようとした職員もいたらしいが、そのデータが公表されて以来、微妙な顔をしてまあいいかと見過ごすことにしたのだった。
「くそぅ。昨日は俺の勝ちだったのに」
「まああんたの場合勝ってもいいんだけどね」
「そうそう。お前は昼食のポテトをひたすらもっていくだけっていうなんとも平和なやつだからな」
「言われてるよー、ウィル。なんか言い換えしたらどう?」
「ササキは容赦がない」
「私にか!」
そんな雑談をしながらササキのグループは職場に向かっていく。このグループにはウィルソンの他にも男が二人、女が二人いる。ササキも含めてちょうどイーブンの比率である。どこのグループもそうなるように調整されているらしい。
一行は八時になる前に上層のファームに向かった。
ファームとなっている上層は豊かな自然に覆われている。所々に休憩地点としての施設が設けられているが、基本的には森や草原などが広がっており、職員達は向かう区画にあわせて仕事が割り振られていた。
たとえば牧場区画の場合は、まずは山羊や牛や羊の面倒を一日かけてみることになる。平野で羊が草をはんでいるのを見ているうちに、いつの間にか一匹いなくなったりして、グループ総出で探すことになるということもしばしばあった。
別の動物区画では、動物園の飼育員よろしく動物の世話をしているところもある。
動物だけではない。植物区画でゴムやアブラヤシの木のプランテーションで働いている者もいるし、綿花の畑の手入れをしている者もいる。
また、このファームの手は実は外にも及んでいる。紅葉国で言う外とは、つまりは海である。鯨やイルカ、そのほかさまざまな海棲ほ乳類の生息調査や、生態系を狂わさない程度の捕獲、または繁殖が行われているのだった。
「とはいっても、むっちゃ疲れるんですけどね」
その夕方。デザートを六人分食べて大層ご満悦なササキグループのテーブルでは、打ち上げられた鯨のようにぶっ倒れている五人の男女の姿がある。今日の彼らの担当はゴムの木のプランテーション。そこで天然ゴムのタッピングをしていたのである。
といっても、これ自体はたいした手間ではない。樹液はそのまま中層の工場に向かうパイプへとどんどん落としていくだけでいい。物によっては木を倒してあつめ換装させ、材木として保存することもあるが、まあ、人力でやれと言われているわけでもないし(当然ながら重機はある)、結構楽な作業だった。
「よもや、牛の大群が迫ってくるとはおもわなんだ」
「あー。あれは凄かったわよねぇ」
ぐったりと倒れているウィルソンが言えば、ササキは苦笑して遠い目をした。他の従業員もあはははと疲れ切った笑いをこぼす。
全員で木登りしたこの思い出は、皆の心を一つにしていた。
「まああれよ。噂に聞く藩王様のキックに比べれば平気なんじゃない?」
「たとえが悪すぎると思うのよ、ササキさん!」
「えー。じゃあほら、外壁が割れなくて良かったじゃない、という事で」
「より最悪のアイディアしか無いのかこの人には」
「ええいっ、やかましいわっ。素寒貧の私たちはよりポジティブに生きなくてはならないのよ!」
ばん、とテーブルを叩いて主張するササキ。ある意味その通りではあるのだが、だったら毎朝ポーカをやるのはどうなんだという視線が食堂中から集まってきていた。
「明日は豚の大群だったらどうしよう……」
遠い目をしたまま女のスタッフが言う。
「象でないだけましじゃない」
ササキはさらりと言った。
こうして人の魂は鍛えられていくのだろうか。ウィルソンはちゃっかりササキのトレイからポテトをとりながらそう思った。
/おきゃくがくる かんこうした
三ヶ月も働くとだいたいどこの作業でもできるようになってくる。はじめは動物の相手や植物の手入れだけだったのが、そのうち中層の工場での作業も任せられるようになったりもする。
そうするとついに、客を相手にした仕事も回されるようになった。
「でもウィルは良く言葉遣いを間違えるので基本黙ってるよーに」
「わーかーってるって」
ササキの念入りな注意にむくれるウィルソン。他の従業員がにやにやと笑っていた。ウィルソンはやたらとササキの注意を受けることが多いのだった。
彼らが今日担当するのは、工場ブロックの説明案内だった。これでもめいぷるシーランドは観光客向けに開かれたファームタイプの遊園地である。家族連れの客がやってくることもあるし、工場見学に学校や孤児院の子供達ががやってくることもある。
そんな彼らの観光コースは、まず上層や海を舞台とした体験コーナである。実際に動物に触れて羊の毛を刈ったり、綿を集めたり、あるいは海中の養殖真珠をとったりとスタッフと共に一緒に作業を体験することができる。また、伐採した木々で作られた遊具で遊んでいる子供達の姿はよく見かける光景だった。
勿論、体験するだけでなく、さまざまな動物を見に行く事も出来る。ファーム内の陸上動物はもちろんのこと、海中の鯨やイルカも、スタッフによるタグ付けという地道な努力の果てに潜水艦を使ってウォッチングする事を可能としていた。
あるいは、工場見学としてさまざまな施設を見ることもできる。工場内には動物の皮や骨を加工しているところもあれば、集めた綿花から綿を取り出しているところもある。これらの作業の一部は、実際に工場を訪れた人が参加することもできる用になっていた。そのためここを案内するスタッフは全員が作業工程を把握する事を必須とされる。実際の作業スタッフとは別に、観光客に作業指導と監督をするためである。
ここから少し離れると、実際に採取されたまままだ加工されていない皮や骨、木材などが置かれている部屋がある。観光客は希望すればここで自分だけの食器や入れ物、革細工を作る事が出来た。
「えー。で、そこの太いパイプがあるな。これが上のゴム園につながってるんだな。ゴム園見てきただろ?」
「おう! 白いやつを一杯とったんだ!」
「よっし、偉い!」
「私は木を切るのを手伝ったよ?」
「おお。凄いなー」
子供達がわいわい騒ぐ中で、ウィルは結構上手くやっていた。むしろあの高いテンションにちょっと置いてきぼりなスタッフ達である。ササキはそれを見てあれーと首をかしげた。
「いやー。驚いたわ。案外ウィルって向いてるのかも」
「なんか言ったっすか?」
「ほら、説明続けて続けて」
「ういっす。でだ、ゴムの木から出たあの白いやつがあのパイプの中を通ってそこのタンクに集まってるんだ」
「知ってる。えんしんぶんりきっていうんでしょ?」
「おお。俺が覚えるのに三日もかかったのに何故その道具の名を!」
「ふふん」
「ふふ。だが俺も負けてはいられないぞ。いいか、良く聞け。実はあの白いやつ、そのままじゃあ体に危ないんだ」
「えー。何それー」
「俺もよくはわからんが天然ゴムにはタンパク質って物があってそれが邪魔らしい」
「それをえのえんしんぶんりきでわけてるんでしょう?」
「そうだっ。だがここに秘密がある。実はそこのパイプを通ってるときにある物を混ぜてだな、簡単にそれをわけられるようにしてるんだ」
あ、まずい、とスタッフ全員がウィルソンの方を見た。子供達はわくわくとした様子で彼を見つめている。
「あー、ウィル?」ササキが声をかけた。「それはちょっと……」
「でだ。何を混ぜてると思う?」
「海水とか?」
「ぶぶー」
「えー。じゃあえっと、他の木の液体とか」
「違う」
「なにー?」
「正解はだな、に……」
「はーいここまでー」
ササキが指を鳴らした。いつの間にかウィルソンの背後に回っていたスタッフが羽交い締めにして引っ張り出していく。おつかれーいやなにをするんだおれはばかだまってひけうおーおれのねたがー、ねたがー。
がー、がー、がーとこだまする中、残った女性スタッフが説明を開始する。
「えー、で、ここでとれるゴムが車のタイヤになったり、手袋になったりしてるわけね。他にも輪ゴムとか、君の履いている靴もそうだし、車のタイヤだってそう。難しい話をすると免震ゴムというものもあるんだけどね。さ、次にいこっか?」
「さっきのこたえはー?」
スタッフは笑顔を浮かべた。
「秘密」
/たくわえができる しごとをえらんだ
そうして何ヶ月か仕事をしていると、あら不思議。
「……俺の預金口座なんてあったんだな」
「あんた私の最初の説明全部右から左だったっていうことよねそれは」
びしりと額に青筋を立てるササキを前に、いやいや滅相もないと必死で首を振るウィルソン。
最初の事務室である。今はウィルソンは作業着姿ではない。勿論パンツ一丁でもない。普通に私服姿であった。
身受けも終わり、晴れて自由のみ。それどころかここで働いた分の収入が、今、彼の預金口座にはある。
「あんたには二つの道がある」ササキは指を二本立てた。「ここで正式な従業員となる事と、外に出て暮らすことだ。あんたは後者を選んだ。うまく生きなよ?」
「ういっす。ああでも俺、ここに来るまで鯨からあんなにいろんな物が作れるんなんて知りませんでしたよ。びっくりしました」
「あはは。そりゃ良かった。まあしかし」
とんとん、とテーブルを指で叩く。
「あんたがいなくなるのは残念だね。結構楽しい日々だったよ」
「俺も楽しかったですよ? いやぁ子供って可愛いもんですね」
「……」
「……あれ、また失言しました?」
「まあ極大の失言をしたね。さ。終わりよ。さっさと出てお行き! 二度と帰ってくるんじゃないっ」
「わかりましたっ。今度こそは真面目に生きます! ありがとうございましたっ」
ウィルソンは椅子を倒しながら立ち上がって、がちゃんと大きな音がするのも気にせず頭を下げた。莫迦、さっさと椅子を戻せと怒鳴るササキ。ウィルソンははいっと言い、笑いながら椅子を戻した。
そして一人残された事務室で、ササキは派手にため息をついた。すると、そろそろと物陰で、部屋の向こうで、さまざまな場所で聞き耳を立てていたグループのスタッフ達がやってくる。
「ササキさん、引き留めるんじゃなかったんですか?」
躊躇いがちに、男のスタッフが声をかけた。ササキはからっと笑って首を振った。
「まさか。あいつは、立派になってここを出て行くのよ。それを引き留めたら私がすたる」
――そう。一文無しの素寒貧。ぱんつ一丁でやってきた情けない男はもういない。
いいではないか。せいせいする。あんなハナッタレも立派に成長できたんだ。
まだ危なっかしいところはあるけれど、それでも――。
それを、笑顔で見送る以外の選択肢があるだろうか。
「格好いいこと言ってると婚期逃しますよ?」真顔で女のスタッフが言う。
「自分の事どうにかしてから言えっ!」
/ゴール
そして意気揚々とやってきて、ウィルソンはその建物の扉を開いた。
ぐるりと見回せば、右手の卓にあのときの見た姿がある。その中の一人がカードを置いて、こちらを見た。
「お、あのときパンツ一丁で放り出されたにいちゃんじゃねぇか。なんだ、またほっぽり出されにきたのか?」
「ふっ。今度の俺は前とはひと味違うぞ? 特に持ち金が」
「ほー。今度はちゃんと金があるのか。なら座れ。今度はこいつ等が素寒貧でよ、退屈してたんだ」
にやりと笑う男に、ウィルソンは不敵に笑い返した。
(振り出しに戻る)
/おまけ
思えば、私は若かった――――。
「性懲りもなくまたやってくるとは思わなかったわよ。まあ今度は服は死守したみたいだけど」
「いや、ほんっとすんません。食堂で時々勝てたからっていい気になりすぎました」
事務室にて、テーブルを挟んでパイプ椅子に座り向かい合った一組の男女。男の名前はウィルソン、女の名前はササキと言う。
それは、すっかんぴんで放り込まれたある青年が立派に立ち直るまでの物語
ではなく、
「あんた莫迦でしょう」
「反論の余地もございません」
「ここまで立派なすっかんぴんは見たことが無いわ」
――それは、すっかんぴんで放り込まれたある青年が、『立派なすっかんぴん』になるまでの物語であった。
編注1:10人に1人くらいはこういうやつがいるらしい。残る九人はまともです。
作注1:この二人は二ヶ月後に結婚することになる。(なお、作中の名前は偽名である)
作注2:そしてこの作品を発表、「めーぷるシーランド就労記」として正式にパンフおまけの冊子として一日数部限定で配布されることになる。
編注2:莫迦ねぇ
作注3:儲けはギャンブルに消えているそうです
編注3:どーりで口座残高が増えてないわけよ!
/ファームの設定的要点
施設設定
・将来的に開発が研究されている船舶属性都市船のテストヘッド
・造船所でパーツごとに作成、洋上で接合された円筒状船舶
・基本はただのブロックからなる
・後で中身(施設とか)を詰める
・自力で潜行する
・が、充分な出力のあるエンジンができなかったので、中身を詰めると動かない
・あだ名は沈没船
・現在では海底ドームとほぼ同等の扱い
・しかしパーツ自体はモジュール化が進んでいるので、今後充分なエンジンが開発されれば動かせるようになる見込みがある
ファーム内施設
・上層は牧場とプランテーションによる自然地域。ドームの外周上をぐるりとモノレールが走っており、各区画に売店や休憩所がある。
・中層は上層で採取した生物資源の加工工場。主に日用品を生産している。体験コーナーあり。
・下層は潜水艦のランチ発着場。
ファーム外施設
・潜水艦に乗ってホエールウォッチングなどの海棲ほ乳類の観察ができる
・環境調査の意味合いも含めて一部の鯨、イルカ等にタグ付けを行っている
生産施設的設定
・ファームで得られた生物資源は加工して日用品として生産される
・これらの日用品は市場で価格割れしない程度に流されており、紅葉国では日用品はかなり安く手に入るようになっている
・ここで得られた資金面の収益は、全てこの施設維持や従業員への給与、及び生活費用に充てられている。足りない分はさらに政府から配分される。
国内情勢的設定
・国内で生活が苦しい、ギャンブルで身を滅ぼした人を対象に仕事を斡旋している
・就労者は男性女性とわず。唯一のルールは素寒貧であること
・従業員は生活保護がされる
・仕事に対しては給与が振り込まれる
・身受け分に加えて日常生活が遅れる程度の資金(三ヶ月分)が得られた後は、正式にスタッフとして就労するか、外部で職を求めるか選べる
・また素寒貧になっても戻ってきて仕事ができる
(ここも作品として組み込んでしまい、そうして設定まとめとしてしまおうかと考え中)
(内容はもっと詳しくしてもいいかも。目標は千文字以下でわかりやすく概要を)
(政策との兼ね合い、施設方針、素寒貧立ちの扱いなどについてもう少し言及予定。なにか気づいたら自由に増やしてください)
そのほか確定情報
紅葉ルウシィ@紅葉国 の発言:
独自の要点としては
海底
別ドーム
なので運転手募集。<え
ドーム内牧場もあるし
紅葉国の全海域を使った海生ほ乳類の放牧とか
タグつけて
探し回る。
観光用途としてはまあ、タグを狙ってイルカや鯨を見に行く
ポップでキュート
ふうたくんのセンスで
紅葉ルウシィ@紅葉国 の発言:
観光も視野に入れた牧場物語。
すっぴんかんで放り込まれたある青年が立派に立ち直るまでの物語。@ギャグ風味
会議2009/01/31
会話の開始: 2009年1月31日
黒霧 (kuromu@aquarius.plala.or.jp)
神室想真@紅葉国 (kamuro_staff@hotmail.co.jp)
日向美弥 (muumuu_1@hotmail.co.jp)
紅葉ルウシィ@紅葉国 (syaku007@hotmail.com)
会話の開始: 2009年1月31日
黒霧 (kuromu@aquarius.plala.or.jp)
紅葉ルウシィ@紅葉国 (syaku007@hotmail.com)